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活動報告:2005年

第25回 今語る敗戦国日独伊三国の少女、少年の戦後
2005-10-22
■2005年10月22日 神奈川県
シンポジウム
ゲプハルト・ヒルシャー(ドイツ)
馬渕晴子(日本)
ピオ・デミリオ(イタリア)
村上義雄(司会、教育総研運営委員)

2005年10月22日(財)神奈川県教育会館にて、「今語る 敗戦国日独伊三国の少女、少年の戦後」と題して第25回教育文化フォーラムIN神奈川を開催しました。ホールには150人の参加者がシンポジストの話に聞き入っていました。

教育総研運営委員の村上義雄さんの司会によりゲプハルト・ヒルシャーさん(ドイツ)、馬渕晴子さん(日本)、ピオ・デミリオさん(イタリア)が自己の体験や思いを述べました。シンポジストのプロフィールと発言要旨は、以下のようになっています。
 
 
ゲプハルト・ヒールシャーさん
ドイツ人。ジャーナリスト。1935年、現在はロシア領になっている東プロイセンに生まれる。西ベルリン(当時)自由大学、フライブルク大学法学部卒業。元「南ドイツ新聞」極東特派員。外国報道協会会長、外国特派員協会会長。『ヤーパンの評判』などの著書がある。

●発言要旨
戦時中、連合国軍の空襲を辛うじて避けながら逃げまどう日々だった。「ドレスデン大空襲」に危うく巻き込まれるところでした。「広島・長崎」や「東京大空襲」などと並ぶあの無差別爆撃です。
私は、あるとき、日本の教科書を調べ、びっくり仰天しました。戦時中、日本が中国や朝鮮で繰り返した非人道的な行為についてほとんど書かれていない。ドイツは違います。子どもはドイツの「負の歴史」をしっかり学びます。そればかりか、ドイツ人自身の手でナチの残党を南米まで足を延ばして探し出し、裁判にかけています。自力で「戦後処理」を続けているのです。日本はどうですか、そうしていると言えますか。
 

馬渕 晴子さん
まぶち はるこ。女優。1936年生まれ。54年、日活映画「女の館」でデビュー。映画では、「大河の一滴」「ブラックジャック」「夕暮れまで」「青春の門・自立編」などに出演。テレビではNHK大河ドラマ「葵・徳川三代」、同「春日の局」、NHKテレビ小説「いちばん太鼓」などに出演。

●発言要旨
私の父も祖父も旧日本軍の高級将校。軍人一家でした。その運命が敗戦で一気に暗転しました。「お嬢様」が「戦犯の娘」になったのです。やさしい父でした。しかし、私のなかに常に葛藤がありました。日本の歴史のなかで軍人はアジアの人びとに大きな苦しみを強い、日本を暗黒に導く人間として機能しました。残念でならないが、これは事実です。
私は最近、長崎で被爆した作家、林京子さん原作の芝居「もうひとつのグラウンド・ゼロ」に出演しました。被爆女性が生者や死者と対話しながら「八月九日の長崎」と向かい合っていくのです。
私は、以前から「侵略戦争を美化する作品」には絶対に出演しないと誓っています。林さんのお芝居に出演してその気持ちがさらに強くなりました。
 
 
ピオ・デミリアさん
イタリア人。ジャーナリスト。ローマで法学と日本語を学び、来日後、テレビの国際放送協力スタッフ、イタリア文化会館広報担当官、ローマ大学講師などを歴任。2001年からイルマニフェスト紙極東特派員。『イタリア語の初歩の初歩』『日本、リーダーシップの夢』などの著書がある。

●発言要旨
ええっ、イタリアが敗戦国だって? それは違う。イタリアは敗けていない。敗けたのはファシストです。イタリア人はレジスタンスに身を投じ、ファシストと戦った。そして、勝利し、その統領のムッソリーニを裁判にかけ、処刑した。私たちは自分の力で勝利をかちとったんです。
イタリアの教科書は戦争についてあまり詳しくない。しかし、ことファシストに関しては詳細です。イタリアの青年はファシストが何をしたか、熟知している。
ジャーナリストとして日本を取材していて非常に不思議に思うのは、やはり政治という世界の奇妙な現実かな。小泉純一郎さんは変人と呼ばれますが、もし、彼が靖国神社参拝をやめ、イラクから自衛隊を撤退させ、アメリカの言いなりにならず、アジアとの関係改善に力を入れれば、歴史に名を残す人物になるでしょう。それが彼に出来るかな?
 
 
※ 詳細は『教育と文化』41号に掲載しています。
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