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活動報告:2006年

第7回労働関係シンクタンク交流フォーラム
2006-11-13
2006年11月13日(月)、13時より、日本教育会館にて連合総研(連合総合生活開発研究所)主催の「労働関係シンクタンク交流フォーラム」が開かれました。わたくしたち教育総研からも「教育格差」の問題についての研究成果報告をいたしました。以下、当日の各シンクタンクからの報告について、簡単ではありますがご報告します。なお「 」内は報告テーマ、( )内は報告者およびシンクタンク機関名を示します。
 

1「勤労者の仕事と暮らしのアンケート調査(勤労者短観)」
(川島千裕、連合総合生活開発研究所)

首都圏および関西圏の20〜50歳代の民間企業に勤務する者(900名、有効回答者数772名)への調査をもとに、とくに賃金不払い残業の実態について報告。不払い残業のある雇用者比率は減少しつつあるものの、不払い残業削減への取り組みが積極的になされているわけではなく、勤務時間管理の見直しや実労働時間の短縮を図る人員配置等の施策が求められるとの指摘がなされた。
 
 
2「郵便の未来を拓くために〜物流研究プロジェクトからの提言〜」
(黒川久幸、JPU総合研究所)

郵政民営化による業務の承継のなかで、とくに郵便事業に関して今後の経営戦略について報告。ヤマト運輸、佐川急便等とのデータ比較を通して、戸別集配可能な全国的ネットワーク、地域情報に精通している豊富な人材などに着目し、多角化戦略に向けての提言がなされた。
 

3「次代を担うユニオンリーダーの現状」
(加藤健志、労働調査協議会)

一般組合員と組合役員とに分けて組合への意識について調査した結果の報告。役員への就任理由のなかで、「ことわる理由がなかった」が増加傾向にあり、「職場の声を反映したい」が減少傾向にあること、主体的な活動による充実感がその後の運動の継続につながっている点、また、魅力あるリーダーの存在が重要である点などが指摘された。
 

4「21世紀働き方〜ワーク・ライフ・バランスの現状と課題」
(梅井千妙子、電機連合総合研究企画室)
仕事と生活時間とのバランスについて30歳代男性で不満が高まっていること、帰宅時間に関しては男女ともに今よりも1時間以上早い時間を理想としていること、就寝時間も男性の場合午前0時を過ぎていることなどが報告。仕事量の裁量度が満足度に大きくかかわっていることなどから、選択可能で多様な働き方を支援する政策や社内制度が必要であると指摘された。
 
 
5「自治体施設の管理委託〜指定管理者制度に関する調査〜」
(菅原敏夫、地方自治総合研究所)

2003年9月の地方自治法改正・施行により、公の施設について従来の管理委託方式から指定管理者制度に移行が決まったことに関して、実際にどのような施設がどのような管理者に移行したのかについての調査報告。結果として、高齢者や障がい者などにかかわる福祉関連施設に指定管理者制度を導入している自治体が多いこと、また、管理者団体としては財団・社団が圧倒的に多いが、株式会社も一割程度あることなどが指摘された。
 

6「労働の価値を高める働き方実現に向けた労使の役割」
(矢辺憲二、中部産業・労働政策研究所)

トヨタグループ5社と小売業1社へのアンケートをもとに、一般組合員と管理監督職との意識の違いを中心に報告。一般組合員において仕事への満足度が半数である点(管理監督職は6割強)、「頑張った人が報われる賃金制度」があるとする者が、前者では35%、後者が66%と開きがあること、仕事が自分に合っていないという意識や経営者の将来ビジョンについて知らないということが仕事のやりがいやおもしろさの減少にかかわっていること、そして、職場の明るい雰囲気づくりや協力といった点が評価されるしくみになっていないことの問題などが指摘された。
 

7「教育における格差問題」
(池田賢市、国民教育文化総合研究所)

教育総研「教育における格差研究委員会」の報告書をもとに、貧富の差の拡大が次世代を担う子どもの教育格差(学力格差+教育機会格差)をもたらし、それが再び経済面での格差を生み出すという再生産過程を断ち切るような教育像・学力像を中心とした報告。準要保護世帯や高校の授業料減免者数の推移と学力との相関関係を明らかにし、社会保障制度の見直しや奨学金、入試制度の改革など、インクルーシブな教育に向けた「人間の森」づくりを提言。
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