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活動報告:2007年

第30回「日本の伝統・文化って?? PART 4」
2007-10-15
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■2007年10月15日(月)18:30〜20:30
   日本教育会館 7階 中会議室
   東京都千代田区一ツ橋2-6-2 TEL.03-3230-0564
■主催:国民教育文化総合研究所
■共催:平和・人権・民主主義の教育の危機に立ち上がる会
            財団法人 日本教育会館
■報告
    「琉球弧」からの視点
     与那覇恵子(東洋英和女学院大学)
 
 
教育総研主催で、平和・人権・民主主義の教育の危機に立ち上がる会と日本教育会館共催の第30回夜間公開研究会のテーマは「日本の伝統・文化って?? PART4」。

講師の与那覇恵子さん(東洋英和女学院大学教授)が『「琉球弧」からの視点』という副題で、ヤマトとは異なる沖縄の言語、音楽、文学、映画などを語ってくれた。奄美、沖縄、宮古、八重山、与那国などの島々からなる「琉球弧」といわれる地域で、奄美とそれ以外とは大きな文化的差異があることを指摘した上で、また、沖縄方言といわれるなかでも、首里方言、ヤンバル方言、八重山方言など20種類もの方言があることを、「桃太郎」という昔話をそれぞれの言葉で読んでいるテープを流しながら説明。

たしかにイントネーションも「おじいさん、おばあさん」という言葉自体も違うことが参加者には伝わった。こうした沖縄の言葉の多様性ともいうべき特徴を踏まえて、沖縄の言葉、ヤマト言葉さらには英語を交えて、沖縄国際大学キャンパスに米軍ヘリが墜ちた事件への抗議をヒップホップの音楽にした若者の活動を紹介。また、高嶺剛の映画『ウアンタマギルー』(1989年)に連なる『パラダイスビュー』(1985年)の映像に描かれた沖縄の基層文化についても触れた。

与那覇さんは沖縄の文化を考える場合ヤマトとの違いを一方で考えつつも、それ自体に潜むさまざま問題、たとえば沖縄における差別の問題(女性差別や島差別)も同時に考えなければならないことや、さまざまな形で演出される沖縄文化の独自性がアメリカ統治下でヤマト文化との違いを際だたせようとした占領政策の流れにもルーツがあることなど、多角的な視点を訴えた。

日本列島に展開する文化の多様性、多層性を深く考えさせられる内容であった。

おりしも、高校日本史教科書の2006年度検定で、沖縄戦での集団自決に日本軍が直接間接に関与したという記述が削除されたことに対する沖縄県民の抗議団が東京で集会を開催している時間と重なっていたため、参加者には改めて〈沖縄〉という場を見直す絶好の機会となった。
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