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活動報告:2008年

第31回公開研究会「ここまでするか『早寝・早起き・朝ごはん?!』」
2008-02-16
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「早寝・早起き・朝ごはん」運動が全国的に進んでいるのを、皆さんはご存知だろうか。
文部科学省や教育委員会に加え、教育再生会議の第三次報告(07年12月)も「生活習慣と学力との相関関係」を強調し、「早寝・早起き・朝ごはん」を強調している。
教育総研と財団法人日本教育会館は、八王子中央診療所医師の山田真さん、中央大学教授の池田賢市さんをシンポジストに迎え、「早寝・早起き・朝ごはん」運動の背景について探るための公開研究会を08年2月16日に日本教育会館(東京・一ツ橋)で開催した。

<発言要旨>

山田真さん

★「早寝・早起き・朝ごはん」はネオ・リベラリズムの健康政策
00年に入って、「健康日本21」という政策が出て、その後、法的に裏付けるために健康増進法という法律ができ、「健康増進法体制」というのができあがりました。私はこれを「健康強制社会」といっているのですけども、国民の一人ひとりが健康であることを強要される社会になったのだと思います。
これまでは、福祉国家といわれる大きな政府が権力を持った福祉社会であり、個人が病気になるのは社会的な責任があるので、病気になった時に社会は保障しなければいけないというのが福祉国家のあり方でした。それがネオ・リベラリズムの時代に変わって、病気になるのは個人が悪い、個人に責任があるので、病気になっても面倒をみないという。健康づくりにものすごくがんばっていてもだめだったら、保障しないでもないけども、がんばらなかった人は保障しない。はっきりいってしまえばそういうことです。
そして、「健康日本21」のような形で、全国一斉に、すべての人に正しそうな、健康的な生活というのが示され、これが強要されるようになってきている。それの子ども版が「早寝・早起き・朝ごはん」というものです。

池田賢市さん

★「早寝・早起き・朝ごはん」は憲法違反
   「学力低下」問題への対策として、「早寝・早起き・朝ごはん」がいわれています。しかし、いつ寝るか、いつ起きるか、朝ごはんを食べるかといったことは、生活の仕方、人の生き方そのものです。「早寝・早起き・朝ごはん」は、価値の優劣の判断に国や行政が踏み込もうとしているという意味で「違憲のスローガン」です。
  「早寝・早起き・朝ごはん」は「内容的に良いのだから、別に気にしなくてもいいじゃないか」と思いがちですけが、同じことが教育基本法の改悪の時にもあったのです。愛国心論議の時に、「国を愛することそれ自体が悪いわけではないし、それは良いことじゃないか」と。
確かに、国を愛すること自体悪いかといえばそんなことはない。好きになれるような国であればそれに越したことはないし、それは各人の勝手です。国を愛すること自体がいけないといっているわけではなくて、そのことを法律で決めるということが問題なのです。たとえ、それが良いことを含んでいたとしても、それはやはり個人が決めるものであって、国家が「こうあらねばならぬ」と判断するものではないということなのです。
国を愛することが良いことか悪いことかといった問い自体を法律違反にしてしまう、それが教育基本法改悪のねらいだったのです。完全に価値の自由が奪われた状態になってしまうということです。
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