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活動報告:2007年

第27回 日本の伝統・文化って??
2007-04-27
■2007年4月27日(金)18:30〜 日本教育会館8階 第2会議室
■主催:国民教育文化総合研究所
■共催:平和・人権・民主主義の教育の危機に立ち上がる会
           (財)日本教育会館
■報告
    「日本文化」と言われるのは一体何か?
     千本秀樹(筑波大学教授)


第27回夜間研究会「日本の伝統・文化って??」は、2007年4月27日、千本秀樹さん(筑波大学教授)をお招きして行われました。

改悪された教育基本法に基づき、現在国会で学校教育法「改正」法案が審議されています。その主な内容は、改悪教育基本法を受けて「我が国と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度、国際理解及び国際協調の精神」を学校教育目標に入れるというものです。

すでに、東京都では「日本の伝統・文化理解教育」のカリキュラムを教育委員会が作成し、現場に下ろしはじめています。わたしたちはこの問題を避けてとおることが出来ません。行政がねらう「日本の伝統と文化」とは何か、わたしたちはどう考えたらよいか一緒に考えたいと思って企画したものです。
千本さんは、『「日本文化」とは何か』として、地域の人々が自主的に作ってきた日本列島各地の文化と「日本文化」はまったく異なるという基本的な視点で語られました。

「日本文化の歴史は百年しかない」といい、明治維新に近代天皇制をもって「国民国家」づくりを進めた政治的に形成されたものが「日本文化」であるといいます。その土台として「家制度」と「標準語」の策定があり、特に後者は「国語」とされ、国定教科書等を通じ徹底化されます。教育は「日本文化」形成に大きな役割をもったわけです。

しかし、政治的に形成された「日本文化」は、日本列島の文化の豊かさ奪っていきます。千本さんは、「多様性こそが文化の豊かさである」と指摘し、「国と郷土」をわざと錯覚させる改悪教育基本法(学校教育法「改正」法案も同)に注意を向けなければならないとしました。

参加者の「わたしたちはどうすればよいのか」との質問に、千本さんは、「地域史にこだわっていくこと」と回答。人々が作り上げた多様な文化を取り戻し、多様な文化をつくり出すことの重要性を訴えました。
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