教育総研は、教育・文化や教育運動のあり方について幅広い研究を積み重ね、同時に学校現場の課題を意識しながら、今日的視点にたった政策提言を行っています。

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活動報告

 

活動報告:2005年

活動報告:2005年
2
 
第24回「教科書問題を考える─伝えよう 歴史の真実を子どもたちに」
2005-06-25
■2005年6月25日 愛媛県
(1)講演「130年間の日韓関係」(高崎宗司)
(2)ライブ 李政美(歌) 矢野敏広(ギター・マンドリン)
 
 

「歴史の真実を子どもたちに」と呼びかけ、フォーラム、松山市で開く
国民教育文化総合研究所(教育総研、嶺井正也代表)は2005年6月25日、愛媛県松山市の「アイテムえひめ」で愛媛県教組とともに第24回教育文化 フォーラム(後援、「平和・人権・民主主義の教育の危機に立ち上がる会」)を開き、集まった約120人の聴衆が日本と韓国の歴史を根底から学び合った。

 

在日韓国人二世の女性ミュージシャン李政美さんが美しく、そして深々とした歌声で聴衆を魅了した後、津田塾大学教授、高崎宗司さんが「130年間の 日韓関係」をテーマに選び、まず「130年前に何があったでしょう、110年前には、100年前には、60年前には、40年前には何があったでしょう」と 問いかけた。そして、(1)1875年、日本は朝鮮に開港を迫り江華島に砲撃を加えた、(2)1895年、日本軍が朝鮮の王妃、閔妃を暗殺した、 (3)1905 年、日本が竹島を編入し、韓国(大韓民国)を保護国化した、(4)1945年、日本は敗戦を、韓国は独立を迎えた、(5)1965年、佐藤内閣が韓国との 間で「日韓基本条約」を締結した、と日韓の「正史」を分かりやすく説明し、「日本の戦後教育は自虐史観」と断ずる人びとの粗雑な歴史認識とは対極にある濃 密な歴史観を鮮明にしていった。

 

戦争体験の持ち主から赤ちゃんを抱いた若い母親まで、さまざまな年齢層の聴衆は、静かに、しかし、熱っぽく聞き入り、確かな手ごたえを感じさせるフォーラムとなった。

 

教育総研では今後も「正しい歴史」を考え合い、学び合うにはどうしたらいいのかを模索する試みを続ける計画です。広範な人びとからの提案、感想、示唆をお待ちしております。

 

※ 記念講演の内容は「教育と文化」41号に収録されています。

 
第20回「少年法『改正』を考える─『厳罰化』・警察によるこども管理」
2005-04-25
■2005年4月25日
天野 英昭 世田谷ボランティア協会事業部
石井小夜子 弁護士

2005年4月25日(月)18時30分から日本教育会館7階にて教育総研主催、日本教育会館協賛により第20回夜間公開研究会が開催されました。参加者40名は東京と近隣から集まり、少年法「改正」がいかに危険なものかの認識を新たにしました。

研究会は、天野英昭さん(世田谷ボランティア協会事業部・プレパーク、チャイルドライン担当)と石井小夜子さん(弁護士)の対談という形式で進められ、参加者からの質疑応答で閉会しました。

天野さんは、内閣府に設けられた「青少年の育成に関する有識者懇談会」の委員でした。この報告書は「子どもの育ちを見守り支えよう」とものでしたが、03 年の長崎事件に関して、「信賞必罰、勧善懲悪の思想が戦後教育で欠落。市中引き回し」等の発言をした鴻池大臣の音頭とりで、報告書とはまったく方向の異なる「青少年育成大綱」が策定された。今回少年法「改正」はここからきたものですが、この経緯に天野さんは、怒りを表明。子どもたちは自分の力で決めながら育っていく、その中には誤りもある、それを見守り育てるのがおとなの役割だと強調。制裁や厳罰化は子どもを育てないと指摘しました。

石井さんは、長期的にみれば少年犯罪は必ずしも増加も凶悪化もしていないし、低年齢化もしていない。むしろ高年齢化しているほどだと指摘。犯罪をおかした子どもはたいてい人権が侵害されてきたという事実がある。根源的に、幼いころからの人権保障こそ犯罪を減少される大きな力になる。一旦犯罪をおかした子どもには、人とのかかわりの中でそこをうめる作業が必要。そして、警察の力が子どもの生活のすみずみまでいきわたりつつある現在、警察の力を増大させる案は大きな危険がある、などと指摘しました。

今国会で審議されようとしている少年法「改正」の内容と問題点は日本弁護士連合会作成のパンフレットに要約されていますので以下に紹介します。
 
● 日本弁護士連合会ホームページ
● 少年法「改正」問題Q&A(PDF)
 
日本における公教育の地方分権化の動向と課題
2005-03-14
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2005韓・日共同教育政策SEMINAR レポート

1 これまでの学力観の変化
1990年代には、日本の教育行政は、新しい学力に転換した。文部科学省の担当者や教育委員会の指導主事は、教え込む教育を否定し、子どもに考えさせることを強調した。

(1)高度経済成長とともに文部省の進めた教育について、
  「大量の授業についていけない子(落ちこぼれ、落ちこぼし)」
  「過度な受験競争は、不登校や荒れる子どもたちをつくりだす」
  「知育偏重、知識注入の教育」
  「画一的な教育では個性が伸びない」
  「偏差値教育は、心や体の成長をおろそかにしている」
  「教え込み授業が指示待ち人間を育て、日本人を受け身にしている」
という批判があった。

(2)古くは、1976年の『教育課程審議会答申』に、「自ら考え正しく判断できる力を持つ児童生徒の育成」とか「雑多な知識の詰め込み型の一斉指導から脱却し、児童生徒が意欲を持って主体的に問題課題に取り組み、自ら考え、判断し、行動するといった自律的・能動的な学習への質的な転換の必要性」が指摘されていた。

よく言及されるのは、1977年の文部省『小・中学校学習指導要領告示』で、そこでは教育内容の3割削減、授業時数の2割削減が打ち出されていた。

1983年11月の『中央教育審議会教育内容等小委員会の審議経過報告』では、さらにはっきりと、「社会の情報化等が進む今日において、主体的に学ぶ意志、能力、態度及び学習の仕方の習得など、自己教育力の育成が、これからの学校教育で重視されなければならない」といって「自己教育力の育成」ということばもみられる。そして、「学校教育は単なる知識の伝達の場ではなく、思考力、判断力、創造力を養うことを知育の基本に据え、発達の段階に応じて、最小限必要な知識・技能を確実に身に付けさせることが大切である」と指摘されていた。

(3)既存の学校教育に大きな批判を投げかけたのは、1984─1987年に設置されていた「臨時教育審議会」である。日本の教育は、明治以来「追いつき型」であったため知育に偏重していたと指摘し、これからは個性を重視し創造性を育成すべきだとしたのである。

国際化の流れの中で、このような考え方は社会的な傾向となり、大学入試も科目数を減少させて「平均点人間よりは個性」というような風潮を生み出した。

(4)「新しい学力観」という名称は、1992年4月に登場する。
1989年改訂小学校指導要領の実施にあたり、1991年指導要録改訂の影響を受け、「基礎・基本」解釈の上で大きな変更がなされる。1989年改定当時は、1977年改定と同じく「国民として必要な(共通の)基礎・基本」があるという前提であった。

「これまでの教育においては、基礎・基本として、知識や技能を中心にとらえる傾向がみられた。これからの教育においては、……豊かに生きる力としての資質や能力を基礎・基本ととらえることが肝要である。」(文部省初等中等教育局『小学校教育課程一般指導資料』の「基礎・基本のとらえ方」、1993年9 月)


2 これまでの授業の変化
2002年度より、土曜日の授業がなくなり、また総合学習が小学校・中学校・高等学校の全課程で実施された。3年間の経験の中で、すぐれた実践も生まれている。

生涯学習という国際的に動きに対応して総合学習が考案されている。PISAの提起したリテラシーと関連が深いのだが、日本の学校の教師はこの関係をほとんど理解していない。

(1)評価の観点として「関心・意欲・態度」が重視される。これは、1993年9月の文部省初等中等教育局『小学校教育課程一般指導資料』にて、「基礎・基本のとらえ方」にて観点の順序を入れ替えて、基礎・基本の解釈を変更した。

「これまでの教育においては、基礎・基本として、知識や技能を中心ととらえる傾向が見られた。これからの教育においては、……豊かに生きる力としての資質や能力を基礎・基本ととらえることが肝要である。基礎・基本をこのようにとらえるとき、「関心・意欲・態度」、「思考・判断」、「技能・表現(又は技能)」、「知識・理解」などの資質や能力がその中核になると言えよう。」(文部省『新しい学力観に立つ教育課程の創造と展開』)

(2)1996年7月の『第15期中央教育審議会第一次答申』は、「生きる力」の育成を今後の教育の基本理念として提唱した。
「これからの子供たちに必要となるのは、いかに社会が変化しようと、自分で課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力であり、また、自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心など、豊かな人間性であると考えた。たくましく生きるための健康や体力が不可欠であることは言うまでもない。我々は、こうした資質や能力を、変化の激しいこれからの社会を[生きる力]と称することとし、これらをバランスよくはぐくんでいくことが重要であると考えた。」

(3)「総合学習」は、1998年6月22日の教育課程審議会『幼稚園、小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校及び養護学校の教育課程の基準の改善について(審議のまとめ)』ではっきりとした。この答申の特徴は、
(a)年間総授業時数を70時間削減する→月2回の土曜日分
(b)ほとんどの教科で学習内容を大幅に削減→3割削減と言われた
(c)「総合的な学習の時間」を小・中・高校の必修として新設
(d)中学・高校で選択教科の時間枠を大幅に拡大する
である。

(4)「総合的な学習の時間」の展開
・学習指導要領の「総則」:国際理解、情報、環境、健康・福祉などの横断的・総合的な課題
・ トピック:ごみ、河川、福祉、森、水、生き物(蛍、トンボなど)、まちの歴史など
・ 広がりと深まり:一つのトピックから入っても子どもの学習は地域へと広がるなど、多様な学びを展開している。<学校知>と<生活知>の統合。
・日教組での「総合学習」の取り組み:「ゆとりの時間」の特設に伴う教育現場の揺れ動きの中で教育課程試案(1974年)を出すが、その以前から、「土の中の教育」(三重県)「公害学習」(四日市)などの地域の課題にとりくむ探求は実践されており、態勢はできあがっていた。


3 指導要領改訂と低学力批判
現在の学習指導要領が作成された直後(1999年)から低学力批判が始まる。旧来の学力観に基づき、「ゆとり」教育を批判し、主要教科の授業時間数の増大を主張した。

低学力批判に呼応して、習熟度別編成が開始され、2001-2002年のわずか2年間で、小学校の74%、中学校の67%に浸透していった。また、財政難、教員管理を理由に一部の地域では、義務教育段階でも学校選択制が始まった。

親は、選択制や習熟度別編成を否定せず、歓迎する傾向にある。

文部科学省は、2003年に、学習指導要領の性格に関する解釈を基準(マキシマムでもありミニマムでもある)からミニマムへと変更した。

(1)学力論争の幕が開くのは、1999年4月の市川伸一・和田秀樹『学力危機─受験と教育をめぐる徹底対論』(河出書房新社)であるとされる。それに続いて、岡部恒治、戸瀬信之、西村和雄編『分数ができない大学生:21世紀の日本が危ない』(東洋経済新報社、1999年6月)がでた。

(2)政府の政策は、行政改革、規制緩和の道をたどり始め、権利としての教育(『日本国憲法』26条)とか福祉国家論は無視される傾向にある。

政府の教育政策は、河合隼雄を座長とする「21世紀日本の構想」懇談会による2000年3月の報告書『日本のフロンティアは日本にある』でおよそ固まったと言える。ここでは、「教育を転換する」として、学校教育を「義務として強制する教育」と「サービスとして行う教育」の二つでとらえ、義務教育の切り下げとともに学校教育に市場の論理を導入して競争と民営化への道を提示している。

(3)同時にこの時、江崎玲於奈を座長として、教育改革国民会議が発足している。
教育改革国民会議第一分科会は、2000年7月に報告書を作成し、「私たちは平等を願うが、人間は生まれた瞬間から、平等ではない」という刺激的なことばで学校教育を組み替えようとした。

さらに、2000年9月22日には、教育改革国民会議が中間報告を発表し、「画一的教育からの脱却、独創的・創造的な人間の育成」「教育基本法の見直し」「小学校からのIT、英語教育」などを提起した。

(4)「低学力」批判の論点。
「ゆとり」教育(完全週5日制、総合的な学習の時間、学習内容の削減、教科の授業時間の削減)は、学力低下をもたらす。

「ゆとり」教育は、まじめに勉強することを否定し、子どもたちの「勉強嫌い」「学習離れ」を生んでいる。

自分の子どもは大丈夫なのかという不安をあおった。

(5)学校選択、学校別のテスト点数公開
2003年3月20日には、中央教育審議会答申『新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について』があり、義務教育制度の在り方として、以下のように記述。

義務教育に関して,社会の変化や保護者の意識の変化に対応し,義務教育制度をできる限り弾力的なものにすべきとの観点から,
(i) 就学年齢について,発達状況の個人差に対応した弾力的な制度
(ii)学校区分について,小学校6年間の課程の分割や幼小,小中,中高など各学校種間の多様な連結が可能となるような仕組み
(iii)保護者の学校選択,教育選択などの仕組み
などについて様々な意見が出された。

その後、法律的にどう処理されたのか不明であるが、現実には、公立の小・中学校で学校選択が行われている。

(6)2001年 学習指導要領の性格に関する解釈変更
文部省は「学習指導要領への厳格な準拠」を求める方針を転換し、「学習指導要領は最低基準。理解の速い子にはより高度な内容を教える」ということにした。

(7)少人数加配
文科省は、2001年度より、義務教育標準法を学級定員の縮小ではなく、加配という教員増に適用することにした。しかし、チームティーチング(TT)など、少人数指導を前提としていたので、現場ではやむなく習熟度別編成に流れた。この結果、従来の学級別編成が崩されてしまった。


4 今回の問題点の把握
文部科学大臣は、2004年の11月に、教育現場で競争意識を高めるために「全国学力テスト」の実施を提案していた。12月7日にPISA2003、15日にTIMSS2003の結果が相次いで公表され、マスコミは学力低下と報道した。

文部科学大臣はすかさずテスト体制の強化をコメントし、その後、2004年の1月には、文部科学大臣や文部省側からは総合学習や生活科を縮小・削減し、教科の授業を増大する発言が続いている。

われわれは、これは全く逆の対応であると考える。低学力の子どもたちへの対応が必要であることは当然のことだが、トレーニングを主体にした旧来の学力観に戻ることは解決にならない。

(1)学力観の転換
PISAが提起している学力は、教科の学力よりも、「教科横断的能力」(CCC: cross-curricular competencies)である。これは、社会に出てからも学び続けるという生涯学習の発想を基盤にしている。PISAでは、学力を読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシー、問題解決力(reading literacy, mathematical literacy, scientific literacy, problem solving)と整理し直している。

このような学力は、旧来の教科の学力は異なり、知識や技能を持ちながらそれらを活用、発展させていく能力のことである。本来は、「総合的な学習の時間」は、その点に留意して作られたものであるが、この点が日本の教育行政では誤解されている。

さらに、PISAで言う読解力とは、「書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力」と広く定義されており、読み取るテキストも「連続型のテキスト」、いわゆる文章だけでなく、「非連続型のテキスト」と呼ばれる図表、グラフ、地図などあらゆる情報を比較・関連付けながら読み取って、解釈し、文脈につなげて考え直し、評価するということである。それは、単なる読書とか、ましてや漢字の練習とかというものよりは、総合的な思考力を問うものである。これこそ、「総合学習」で培われるべき学力といえるものが測られているわけであり、文科省の対応は逆方向だと言えるだろう。

(2)テスト結果の問題点
 
 
表でも分かるように、日本の特徴は、社会生活をするのにきわめて困難が予想される「レベル1未満」が多く、平均以上という「レベル3」以上が少ないことである。かつて、高度経済成長期には全体の学力の底上げを実現したのであるが、現在の日本は学力分布の分化が深刻な問題になっている。


5 子どもたちの生活について
子どもたちは、依然として競争システムと受験体制によってストレスを受けており、国際的にも子どもの権利委員会から過度な学力競争について指摘を受けている。

同時に、日本の子どもたちは、国際調査によっても、テレビを見る時間が他国よりも多く、家庭で学習する時間も少ない。勉強をする子どもたちの層と、しない子どもたちの層とに二分化され、学力も二極化の現象が見られる。これに対する行政の対策はない。

(1)日本の子どもたちはあまり勉強しない
同時に行われた生活実態調査では、PISAによると、授業以外の勉強時間が日本では週平均6.5時間でOECDの平均の8.9時間より短い。TIMSS によると、宿題をする時間は、小学4年生で一日平均0.9時間で国際平均の1.4時間に比べて短い。また、中学2年生では1.0時間と、調査した46か国中もっとも少ない。テレビを見る時間は、小学4年生で一日平均2.0時間と国際平均の1.7時間よりも多く、中学2年生になると2.7時間にもなり46か国中最大である。

(2)日本も韓国もストレスの多い教育状況にある
勉学意欲についても、TIMSSでは、中学2年生で、「数学の勉強が楽しいか」に強くそう思う者は日本では9%であり国際平均の29%よりもきわめて低い。また、「希望の職業に就くために必要か」に強くそう思うあるいはそう思うと答えた者は日本では47%であり、国際平均の73%よりも極めて少ない。「数学の勉強への積極性」の高いレベルの者は日本では17%しかなく、国際平均の55%に比べて3分の1ほどである。

小澤紀美子(東京学芸大学教授)
 
2005韓・日共同教育政策SEMINAR
2005-03-14
教育総研は、国際的な視野から今日の教育課題を見直す参考とするため、海外の教育状況を学びあい、生かしあうという目的で、2005年3月14日(月)〜17日(木)の4日間、教育総研メンバーと単組・研究所からの参加者11名が韓国を訪問しました。15日には2005年 韓・日 共同教育政策 SEMINARを行いました。テーマは教育改革と教育行政の地方化、OECD/PISA結果の診断と韓日教育の示唆点の2本で、教育総研・KFTA双方から各テーマごとに1本ずつのレポート提案を行いました。教育改革と教育行政の地方化では、リュ・ホドゥ韓国教総教育政策研究所長と嶺井正也教育総研代表が、OECD/PISA結果の診断と韓日教育の示唆点では、イ・ミョンヒ コンジュ大学教授と小澤紀美子運営員がレポートしました。
 
 
第8回教育研究所交流集会
2005-03-03
■2005年3月3日 東京都
(1)(財)神奈川県高等学校教育会館教育研究所
(2)岡山県教職員組合教育運動推進センター

第8回研究所交流集会は3月3日、各単組立研究所・単組代表者など60名の参加を得て、活発に議論・報告が行われました。単組立研究所からの報告は、(財)神奈川県高等学校教育会館教育研究所と岡山県教職員組合教育運動推進センターが行いました。

(財)神奈川県高等学校教育会館教育研究所の本間正吾さんからは、研究所設立の経緯・研究所のスタッフ・研究所の業務・財政や運営について、岡山県教職員組合教育運動推進センターの明石浩之さんからは、教育運動推進センターの組織、各研究部会の活動紹介、問題に対する即応性などの課題について報告がありました。

参加した各単組立研究所からは、活動報告と課題についての意見交換が行われました。内容は、研究所運営の財政的基盤の確保、現場実態やニーズに合った研究の構築、報告書の作成、研究員の確保など困難な状況や、工夫しながら研究活動を継続していることが報告されました。このような状況の把握や対応方法に関して、更なる情報交換が必要であるとの意見が出されました。

教育総研に対しては、参加者から研究所のネットワーク作りの充実が求められました。情報の共有が強く求められる現状から、ホームページなどを利用したネットワーク作りを検討していかなくてはなりません。
 
第19回「なぜ今、子どもの『発達障害』
2005-02-14
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なのか─子どもの脳がねらわれている II」
 
■2005年2月14日
北村 小夜 障害児を普通学級へ全国連絡会
鳥羽 伸子 臨床心理士
 
 
2月14日、日本教育会館にて第19回夜間公開研究会を開催しました。夜間にもかかわらず、200人の参加を得て、北村小夜さん(写真左、障害児を普通学級へ全国連絡会)と鳥羽伸子さん(写真右、臨床心理士)が講演しました。その後、講師が参加者からの質問に答えました。

北村さんは、学力テストに力が入れられる時には、障害児学級が増える、という過去の実例を挙げ、障害者がどのように扱われてきたかを説明されました。鳥羽さんは、障害者が置かれている社会的現状を丁寧に説明されました。会場からは、障害児が教室から排除され、他の児童と一緒に学べない実態がある、学校に要望しても長期にわたり戻れていない、などの問題提起がなされました。

講師からは、学校で教室にいても補助をする職員がついていることにより他の子どもと分離させられている場合もある、その子にとってどうすることが一番いいことか、子ども・保護者、学校、PTAなどとよく協議することが大切と話されました。また、障害があるかないかの違いではなく、すべての子どもに違いや課題があり、一人ひとりにあった支援が必要なのだと、講師は話されました。
 
PISA2003・TIMSS2003に関するコメント
2005-01-31
2004年12月に相次いで公表されたOECDによる生徒の学習到達度調査(PISA2003)と国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2003)の結果を受けたマスコミの報道や文部科学省の姿勢に対して、教育総研としてのコメントを発表しました。
 

何を問うべきか、私たちの見解

〈要約〉
OECDによる生徒の学習到達度調査(PISA2003)と国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2003)の結果が2004年12月に相次いで公表されたが、マスコミは一斉に「学力低下」と大きく報じた。新聞記事だけをみると、国際的にみて日本の子どもたちの「学力低下」が深刻だという印象だけが作られてしまうようになっている。これではまったく偏った報道であり、意図的に「学力低下」を煽っていると言わざるをえない。

しかし、日本の場合には、PISAで求められた読解力に弱さがあり、それが低下しているが、理数系では少し順位を下げたとはいえ、PISAもTIMSSでも国際的には第一位グループに入っているのである。

ただし、思考力や応用力を測る問題を中心とした内容になっているPISAの読解力が低下し、国際的にみて中位になってしまっていること、これは日本の教育課題として重く受けとめる必要がある。しかも、この読解力に関しては、平均よりもレベル5、レベル4、レベル1未満の割合が多く、上下に分裂している様子がうかがえる。

さらに、同時に行われた生活実態調査で、日本の子どもたちは家庭で勉強しないし、勉強意欲が低いという現実が明らかになっている。

ところで、PISAを実施したOECDが毎年だしている『図表でみる教育 OECD(2004年版)』によると、国内総生産に対する全教育段階の公財政支出の割合は3.5%で、OECD各国平均の5.0%を下回っており、初等中等教育だけだと27ヶ国中25位になっている。また、一般政府総支出に占める全教育段階の公財政教育支出の割合も平均を下回り、22位という状況である。

とすると、日本の子どもたちは、家での学習時間は短い、勉強意欲はない割に、しかも一人あたりにかけられる支出は多くはないという状況のもとで、PISA読解力は別にして、上位の成績を修めているのだ。

こうした点を分析しないままに、中山文科相は学校教育で「競い合う気持ち」や学校間の「競争」を強調し、全国学力調査を実施する意向を表明しているばかりか、「総合的学習の時間」削減まで発言している。これは大きな誤りである。
 
きか、私たちの見解」全文【PDF】
 
第23回「ヒロシマから教育を考える」
2005-01-29
■2005年1月29日 広島県
(1)講演「最近の教科書問題にどう対応するか」(高嶋伸欣)
(2)ライブ 坂田明さんと吉野弘志さん
 
 
1月29日、広島・ワークピア広島で第23回教育文化フォーラムIN広島「ヒロシマから教育を考える」が開かれました。

講演は、高嶋伸欣・琉球大学教授「最近の教科書問題にどう対応するか」。その後、坂田明さんと吉野弘志さんによるライブステージがくり広げられました。

200人近い聴衆への高嶋伸欣さんの力強い語り。「最近の教科書問題にどう対応するか」という主題で、70年代、80年代、90年代の動きを鋭く、かつ、実践や体験に基づく鮮やかな切り口で読み解き、教育基本法改定、教科書問題そして改憲をめざす政治的動向を明らかにした講演でした。
敗戦後、日本は主権在民社会をめざし、その定着に教育も大きな役割を果たしてきた。しかし70年代の保革伯仲状況に対する保守派の危機意識をベースに、80年代に入って教科書に対する迫害が始まったのである。

憲法改定の思想的潮流を形成する教科書攻撃や「新しい歴史教科書」による神話重視、ジェンダーバッシング、「家族制度」復活のもくろみを具体的な教科書の記述の実例と豊富な資料で矛盾を明らかにした講演に聴衆もうなずき、呼応していた。

教科書を「教師が教えるための材料としてとらえるのではなく、子どもが学ぶための材料」として捉え、子どもに「社会について、広く深い理解と健全な批判力を養い」(学校教育法42条3項)という21世紀型教育の原理を踏襲した教科書が出版されてきているのに、それに逆行する「新しい歴史教科書」の押しつけ型・洗脳型の教科書こそ、時代遅れで、もっとも学習指導要領に反している、と訴える。

ヒロシマから日本を変えるという静かな情熱がほとばしる講演に聴衆は魅了された。講演に続く坂田明さんのサックスと吉野浩志さんのウッドベースのセッションは、「矛盾に屈するな」と訴え、遠くの小さな変革のうねりを大きな波に変えて行く、行こうという応援歌でした。

※ 記念講演の内容は「教育と文化」40号に収録されています。
 
第3回教育研究者ネット会議IN札幌
2005-01-07
第54次教研全国集会会期中の2005年1月7日、札幌パークホテルで、第3回教育研究者ネット会議が開催された。まず、「ネット会議設立の経緯と趣旨」について嶺井正也教育総研代表が、「今次教研の基調と教研活動」について荘司英夫日教組副委員長が話し、「共同研究者からの提起」と題して、山内亮史世話人(旭川大学)の司会のもとに、お二人からの報告があった。
 
 
第54次教研全国集会会期中の2005年1月7日、札幌パークホテルで、第3回教育研究者ネット会議が開催された。まず、「ネット会議設立の経緯と趣旨」について嶺井正也教育総研代表が、「今次教研の基調と教研活動」について荘司英夫日教組副委員長が話し、「共同研究者からの提起」と題して、山内亮史世話人(旭川大学)の司会のもとに、お二人からの報告があった。

大平滋さん(立正大学:自治的諸活動と生活指導分科会)が「子どもの権利条約と教育基本法研究委員会報告を読んで」、森実さん(大阪教育大学:人権教育分科会)が「人権教育分科会議論をふりかえって」と、担当分科会の議論と研究をつなぐ提起がなされ、参加者約50名から活発な意見が出された。この報告と議論のなかで、改めて子どもの権利条約を実際に活かしていく取り組みの必要性と、日本が提唱した国連の「持続可能な開発のための教育の10年」に対する取り組みの強化などが確認された。

続いて交流会では、参加者全員の自己紹介があり、分科会・世代を超えた研究者相互の関わりが深められる時となった。
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