教育総研は、教育・文化や教育運動のあり方について幅広い研究を積み重ね、同時に学校現場の課題を意識しながら、今日的視点にたった政策提言を行っています。

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活動報告

 

活動報告:2009年

活動報告:2009年
2
 
「日本の伝統・文化」理解教育研究委員会報告書
2009-06-15
「日本の伝統・文化」理解教育研究委員会の報告書が完成しました。

報告書PDFダウンロード
 
第35回夜間公開講座「子どもの貧困と教育格差」のご案内
2009-04-27
「子どもの貧困と教育格差~日本の不公平を考える~」

■2009年6月1日(月)18:30~20:30
   日本教育会館 7階 707会議室
   東京都千代田区一ツ橋2-6-2 TEL03-3230-2852(代表)
■主催:財団法人 日本教育会館
■後援:国民教育文化総合研究所
■講演者
   阿部 彩さん(国立社会保障・人口問題研究所国際関係部第2室長)
■入場無料 申込不要

  最近、就学援助を受ける小・中学生や、授業料減免の措置を受ける高校生が増加するなど、「子どもの貧困」が深刻化しています。しかも、子どもの時期における貧困は、大人になってからの所得や就労に影響し、それが次世代にも受け継がれてしまうなど、貧困の「世代間連鎖」のおそれも指摘されています。また、経済格差は学力格差などのかたちで、子どもたちの教育にも負の影響を与えているという研究報告もたくさん出されています。
  日本教育会館・第35回夜間公開講座では、子どもの貧困の問題に関する研究では国内の第一人者であり、ベストセラーともなった『子どもの貧困-日本の不公平を考える』(岩波新書)の著者でもある阿部彩さんを講師に迎え、教育をはじめ医療や福祉など様々な面から、この問題について現状認識や今後の在り方などについて考えを深めていきたいと思います。
 
のご案内〔PDF〕
 
第34回夜間公開講座「国際比較を通じて教職員の働き方を考える」のご案内
2009-03-05
「国際比較を通じて教職員の働き方を考える
~ふえる休職者・定年前退職者、子どもと向き合う時間さえない~」

■2009年3月30日(月)18:30~20:30
   日本教育会館 7階 707会議室
東京都千代田区一ツ橋2-6-2 TEL03-3230-2852(代表)
■主催:財団法人 日本教育会館
■後援:国民教育文化総合研究所
■報告者
   嶺井正也さん(専修大学教授・教育総研所長)
   白石利政さん(労働調査協議会 特別研究員)
   池田啓子さん(日教組生活局次長・女性部長)
■入場無料 申込不要

   国民教育文化総合研究所(教育総研)は、国際比較などの視点も踏まえて教職員の労働の在り方に関する研究・調査を行い、このほど、その報告をまとめました。それらによると、日本の教職員は、「学力世界一」などで知られるフィンランドと比べ、1日あたりの労働時間が5時間も長く、文書作成などの事務に追われ、授業準備や子どもと向き合う時間が確保できていない実態が明らかになりました。
  また、日本教職員組合女性部が実施した調査では、子育てや介護と仕事の両立が困難であることや、職務の多忙化などを背景に、女性教職員の定年前退職が年々増加しています。
   定年前退職や病気休職する教職員が増加する状態で、果たして学校教育の質は確保できるのか。教職員労働のあるべき姿について、国際比較などを通じて考えてみたいと思います。
 
教職員労働国際比較研究委員会報告書
2009-02-10
教職員労働交際比較研究委員会の報告書が完成しました。
 
報告書PDFダウンロード
 
『図表でみる教育2008』に関するEI分析
2009-01-21
 
『図表でみる教育2008』に関するEI分析:概要
 
福田誠治(教育総研 研究会議議員)
 
 「国際教育指標事業(INES program)」について、まず説明すれば、レーガン大統領は、冷戦構造を意識して、科学の成績を向上させようとした。そこで、合衆国政府、とりわけ教育省は、OECDに国際教育指標事業を行うように提案した。そこでは、成果主義に基づく公共政策、いわゆる新公共管理(NPM)への組み替えも意図されていた。

  OECDは、特定の国家の特定の利害関係に縛られることを避けようとしたが、1987年のワシントン会議においてアメリカは「教育研究革新センター(CERI)」から撤退することさえほのめかしたので、従わざるを得なかったという。この事業の結果は、年報として発行されることになった。この年報は、1992年より『図表で見る教育(Education at a Glance)』として刊行されることになる。開始当初には36だった指標が、年々拡充されて今日に至っている。この事業の責任者は、シュライヒャー指標分析課長である。

  教育指標事業を推進していく過程で、新しい学力調査「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」が誕生することになる。使用されている統計枠組みは、ユネスコの開発した「国際標準教育分類(ISCED)」である。

  2008年版の記述の中で目を引くものは、先進諸国における進学率の高まりに関する記述である。後期中等教育修了者のほとんどは「大学型高等教育機関(ISCED5A)」に進学可能な中等教育資格を有している。しかし、大学進学率は国によってまちまちである。OECD加盟国全体では、1995年に37%であったが現在は57%に達している。『図表でみる教育2008』では、「教育室出の効率を高めるよう求める圧力が生じることは必至である」と言っているが、EIリサーチ・ネットワークは、「高技能(あるいは高学歴)者は労働市場への有用性だけで判断されなければならないのかと問いかけたい」と批判している。教育の効能、あるいは効率の指標は経済効果なのかと、現在の社会風潮にみる教育観が問い直されるべきだということである。

  説明責任・学校選択という手法が教育の質を高めるかという点では、『図表に見る教育2008』には、「総合的な成績水準を高める」余地を提供しうると報告書の導入部分で述べられているのだが、本文にはそのようなデータはない。PISA2006の報告書によると、親の期待や学校への関与と成績とはほとんど関連性がなく、国によっても結果はまちまちである。なお、この分析部分は、PISA2006に関する英文報告書には記述されているが、『生きるための知識と技能③』には収録されていない。

  学級規模については、小さかった国はより大きく、大きかった国はより小さくなる傾向にある。日本は「平均学級規模が大きいながらPISAでは平均以上の成績を収めている」一例としてあげられている。適正規模はいくらかという判断は、提供されていない。

  高等教育の拡大には民間投資を増やす案が提起されている。高等教育なら支払い意欲が高いと見なされるからであるが、これでは「万人が生涯学習のために利用できる基本的人権としての教育」と言う原則が損なわれることになり、EIは、「全教育段階における質の高い教育へのアクセスは引き続き政府の主要責任とすべきである」と考える。


日本について言及された部分(抜粋)

<高等教育> 

  「高等教育修了度の急上昇、これはOECDの意見によると労働市場のニーズと最も直接的に関連しているのだが、これに伴い、日本と韓国がトップグループ入りを果たした」

 「中等教育卒業率の高さはその国の技能・知識面の質の高さを保証しているわけではなく、いずれにしても、現代生活に必要最低限の教育レベルと考えることしかできないと警告している。しかし国によっては、高等教育への入学資格を持つ学生と実際に入学する学生との差が依然として大きすぎる。例えば、ベルギー、アイルランド、イタリア、日本、トルコおよび非加盟国のチリとエストニア、イスラエルでは、大学型高等教育に対応した後期中等教育の卒業率と、大学型高等教育への入学率との差が比較的大きい(20ポイント超)。」「これは制度レベルにおける重要な効率問題を示しているという。」
     
   →「安い授業料と手厚い学生支援による制度が依然として最も公正な高等教育制度である」

    <教職員給与>

     「ほとんどのOECD加盟諸国では、教員の給与は担当する教育段階が上がるにつれて増える。ベルギー(フラマン語圏・フランス語圏の両方)、ルクセンブルク、オランダ、スイスでは、経験年数15年以上の後期中等教員の給与は同じく経験年数15年以上の初等教員より少なくとも25%は多い。対照的に、オーストラリア、チェコ共和国、イングランド、ギリシャ、アイルランド、日本、韓国、ニュージーランド、ポルトガル、スコットランド、トルコ、アメリカおよび非加盟国のチリとエストニア、イスラエル、スロベニアでは、後期中等教員の給与と初等教員の給与が同等である(差は5%未満、表D3.1)。」

     「報告書は過去数年と同様に、教職歴・資格・業績を有力な給与等級の基盤として大いに重視し、以下のとおり主張している。『かなりの割合の教員や学校管理者が高い地位への昇進を望んでいないことを示すデータがある。これはおそらく、昇進のマイナス面がプラス面(昇給や名声、その他の報奨)より大きいためだろう』(p.447)。」
 
2008年国民教育文化総合研究所海外視察報告書
2009-01-14
2月25日から3月4日にかけて行った2008年国民教育文化総合研究所海外視察の報告書がまとまりました。
 
 
    こんな働きかたをしている教職員~イングランド、スコットランド、イタリア~

    目 次

    はじめに
    Ⅰ 各訪問先インタビュー
    1.イングランド(ロンドン)
    (1)ロンドン大学教育研究所(2月25日)
    (2)マナー小学校(2月25日)
    (3)全国教員組合(2月26日)
    (4)プレストン・マナー中等学校(2月26日)

    2.スコットランド(エジンバラ&グラスゴー)
    (1)スコットランド教育研究所(2月28日)
    (2)スコットランド中等教員組合(2月28日)
    (3)ヒルヘッド中等学校(2月29日)
    (4)キングスパーク小学校(2月29日)

    3.イタリア(ミラノ)
    (1)ボテッリ小学校(3月3日)
    (2)イタリア労働総同盟・知的労働者連合(3月3日)

    Ⅱ 比較検討
    おわりに
 
 
化総合研究所海外視察報告書【PDF】
 
第31回教育文化フォーラム
2009-01-07
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第31回教育文化フォーラムin青森
 

日時:2008年12月20日(土)14:00~17:20
会場:柏ふるさと交流センター
         つがる市柏広須松元102‐1
主催:日教組青森教職員組合、国民教育文化総合研究所
後援:子どもと教育を考える県民会議、青森平和推進労働組合会議、北地方教育会館

 

1 講演
    「土俵の学校 ~夢は必ずかなう~」 舞の海秀平さん

 

2 鼎談
     舞の海秀平さん、わんぱくずもうの長谷川さん親子

 

3 シンポジウム
   「全国学力テストで舞の海関は育つか?」

 

  シンポジスト: 嶺井正也(専修大学教授)
                            森澤範子(龍谷大学非常勤講師)
                            藤田冬芽(日教組青森教職員組合)
                            安保和雄(中泊町立小泊小学校教諭)

      コーディネーター:石井小夜子(弁護士)

  2008年12月20日(土)、今年度2つ目の教育文化フォーラム(第31回)が青森県つがる 市にて開催された。何かと忙しい年末そして悪天候だったにもかかわらず、小規模ながら予想を超える多くの方が会場に足を運んで下さった。第一部が舞の海秀 平さんによる講演、そして第二部が「全国学力テストで舞の海関は育つか?」と題したシンポジウムの二部構成で行われた。

 

「来て下さった方々が『来て良かった』と思えるような話をしようと燃えています」という最初の言葉どおり、第一部の舞の海さんは一時間の講演時間を いっぱいに使って、山形での高校教師内定が決まっていたにもかかわらず相撲界に入ることを決意するに至った経緯、その後新弟子検査基準(当時)の身長に足 りなかったため一度は落とされ、それでもあきらめずに頭にシリコンを入れる手術をしてまで合格した話、神事・文化としての相撲の歴史や意味、そして機械で はない人間同士が肌でぶつかり合うからこそ、そこに生まれる微妙な力士の心の動きなど、舞の海さんならではの語りで聴衆を惹き込んだ。

 

  『夢』が一つの大きなテーマだった今回の教育文化フォーラム。舞の海さんが決して恵まれた条件が揃わない中「力士になる」という夢をあきらめずに 追いかけ、そしてかなえることが出来た背景に、「最高の師匠」との出会いがあったと語った。謙虚さと潔さを学んだという出羽海親方は「弟子をやる気にさせ る」、そして何よりも自分に「相撲を教えてくれない」師匠だったと舞の海さんは表現した。「好きにやっていい」「お前だけは許す」。明らかに力士としては 体の小さい舞の海関(当時)のことを思い、初めはあきらめてくれることを願っていた出羽海親方も、新弟子検査に一度落とされてもあきらめない舞の海関の姿 にその覚悟を感じ取り、その後は彼の可能性に蓋をしないことで、良さが生かされ夢をかなえる道を絶たなかった。そんな最高の師匠の元で舞の海さんは、「土 俵は丸い」「どう有効に使うか?」「この白いキャンバスにどんな絵を描こうか?」「背は低くとも相撲の取り方はいろいろある!」そんな自らの発見とスタイ ルを得ていくことが出来たと語った。

 

第一部後半には、舞の海さんの中学時代の後輩にあたる長谷川さんが二人の息子たちと共に舞台に登場。舞の海さんを交えての鼎談では、中学、高校時代 を振り返り、いかに相撲が地元の歴史、祭り、文化の一部であったかが語られた。「地元文化の一部」として出会ったからこそ相撲をやりたいと思ったと話す舞 の海さんに呼応するように、長谷川さんも、祝勝会や反省会などに見知らぬ地元の人が気軽に参加し、そして声をかけてくれたこと、つまり相撲は、地元コミュ ニティと繋がれる一つの貴重な機会だったと感謝を込めて語った。鼎談の最後には、この青森の地で今まさに相撲の稽古に励んでいる長谷川兄弟から舞の海さん に質問がなされ、そして舞の海さんからは「あきらめずに続けていくこと」「行き詰った時にこそ、人は必ず一日一日成長している、変わっていっているという ことを信じること」という熱いメッセージが送られた。

 

 『夢』をもち、あきらめずに成長を重ねることが出来た舞の海さんの講演や長谷川さん親子との鼎談を受けて、第二部のシンポジウムでは様々な立場の四 名のシンポジストが、「全国学力テストで舞の海関は育つか?」をテーマにそれぞれの経験と視点を会場に向けて伝えた。教育総研副所長の石井小夜子さんコー ディネートの元、最初は藤田冬芽さん(日教組青森教職員組合)が発言。現代の子どもたちが『夢』を持てていないように感じるものの、当然強制できるもので もなく、では『夢』を持てる気持ちを育むために教育は何をするべきなのか?相撲の楽しさについて「勝つからうれしい」と語った第一部鼎談長谷川家の子ども たちの言葉を受けて、つまり「達成感」を持たせることの出来る環境作りが大切なのだろうと、藤田さんは語った。何かが出来たことを認め、そして祝福する。 そういった、子どもたちが「達成感」を感じられる機会が現在主に部活動の時間のみに限られているという現状を指摘し、授業の中で達成感を共有できる場を 作っていくことが今必要であると訴えた。

 

次に教育総研所長でもある嶺井正也さんからは、現在大学教員として若者たちと関わる者として、またかつての「全国学力テスト第一号」の一人として、 さらには三人の子育てを経験した親として、発言がなされた。今の社会は若者たちに『夢』を持たせることができていないという実感から、「学力向上」と迫る 前に、若者を温かく迎えて支えられる、若者に夢を持たせられる社会に変わることの方が「生きる力」を育む意味において重要であると述べた。また自身の経験 を振り返り、学校での「勉強」で力をつけてきたというよりも、むしろ社会の問題に触れ、人との関わりの中で学ぶ意味を自分で考え、そして人に支えられ人と 繋がって生きてきた、ちょうど第一部の舞の海さんや長谷川さんが相撲を通じた地域との繋がりから力を得たと話されたように、同様の実感が自分の中にあるこ とを述べ、さらにそれを土台として、比較競争の目的が濃く、日々の学びを支えるという視点を見失った学力テストで人は育たない、という自身の考えを語っ た。

 

次に発言したシンポジストは、兵庫県川西市で子ども人権オンブズパーソンとして子どもたちと向き合っている森澤範子さん。「できる/できない」で見 られる・分けられる、そんな環境で追い詰められ、自分の存在価値を否定するようなメッセージを送り続ける社会の中でありのままの自分で良いのだと思えずに いる子どもたち。そんな子どもたちとの8年の経験から、狭い指標で子どもの「出来/不出来」を評価することを止め、子どもの話に耳を傾け、主役としての子 どもをサポートする大人の役割の重要性が切実に伝えられた。

 

四人目のシンポジストは地元青森の小学校で教員をつとめる安保和雄さん。学力テストをやるとなったら自分のクラスの子どもたちに良い点をとってもら いたいと思ってしまうのが現場の人間が置かれた現実。さらに、もし結果が悪かったら自分の責任も問われるのか・・・そんなプレッシャーと恐怖感すら抱かせ られたと言う安保さんは、学力テストによって切り詰められる貴重な日々の時間を懸念した。普段先生たちは日々の子どもたちとの関わりから多くの情報やデー タを集め、それを元に「今度はこうしよう」「この子にはああやってみよう」といった工夫を生み出していると安保さんは言う。そんな工夫のための時間が、 「テスト練習」や「テストのための授業」で奪われてしまう、そんな懸念だった。その後会場からも、学力テストの結果と、学びに対する子どもたちの意欲の高 さとの間に大きな開きがあることを指摘した統計データを元に、「学力向上」が、必ずしも「学び」や「生きる」ことそのものの楽しさや意味の実感に繋がって いない、と指摘する声が上がった。

 

最後にコーディネーターの石井さんよりポイントを絞った質問が各パネリストに出され、「子どもを新発見できる時間をもっと持てれば」「子どもも楽し く、大人も楽しくなれる」、そして子どもたちの夢と可能性の芽を摘まない学びの実践が拓ける、現職安保さんのそんな言葉が再び会場に向けて発せられ、閉会 となった。
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