本文へ移動

活動報告:2007年

教育活動を萎縮させる「教育再生」関係三法に強く反対する
2007-04-16
さる3月30日、政府は教育基本法「改正」、教育再生会議第一次報告および中央教育審議会の答申等を踏まえ、きわめて短時間のうちに、「教育再生」のための法改正案を国会に上程した。これは憲法「改正」とともに安倍首相が執念をもやす戦後体制の転換という思惑を優先させたものであり、到底、容認できるものではない。

ここに強く反対を表明し、法案の撤回を求めるものである。


1.国家・社会への寄与を教育の目的とする「学校教育法等の一部を改正する法律案」
2006年12月22日に公布・施行された教育基本法に定められた教育目標を学校段階ごとに示すこと、および、あらたな職制を学校組織に導入することを目的とした今回の「学校教育法等の一部を改正する法律案」は、問題に充ちている。

第1に、教育目標規定に関わる問題である。

国会審議等を通じて多くの批判を受けた、愛国心教育など新教育基本法の教育目標規定がそのまま盛り込まれていること自体に大きな問題があることは前提にした上で、なお、以下のような問題がある。

新教育基本法はその第一条で「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成」を目的としてしめした。しかしながら、「人格の完成」や「平和で民主的な国家及び社会の形成者」という観点が教育目標としては極めて弱くなっている反面、新教育基本法にはみられない「規範意識」(第21、23条)が盛り込まれている。これでは既存の体制に無批判的に従う人間の形成を主とする教育でしかなくなる。

現行法では、幼稚園を含む学校の教育目標はその「達成に努めなければならない」という努力規定になっているが、改正案では「達成するよう行われるものとする」(第23、30、46条など)と、学校による目標達成へのしばりが強くなる方向になっている。学校教育活動が制約される可能性がある。さらに、義務教育、高校、中等教育学校、大学の目標に関しすべて「社会の発展に寄与する」ことが求められている。一人ひとりの人間の幸福や人格の発展より、社会の発展の手段としての教育という側面が前面に出ている。

すでに東京都で実施されている主幹制をさらに一歩すすめた身分(=主幹教諭)として追認するほか、副校長や指導教諭などをおくことを認めている(第37、49条など)。教職員組織を過度に階層化するものであり、とうてい容認できるものではない。


2.地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案
この法律案は、曲りなりにこれまで進められてきた教育行政の地方分権化を動きに歯止めをかけ、文部科学省を頂点する中央集権的な教育行政への後戻りを生ぜしめる内容になっている。その具体的規定は、文部科学大臣による「是正要求」(第49条)と「指示」(第50条)である。

振り返ってみれば、昨年の秋、安倍晋三自民党総裁が首相に就任したとたんに報道が加速した、「いじめ自死」問題や高校・中学校での教科未履修問題における教育委員会の対応の遅れや不適切さがきっかけとなっている。しかし、法律案の骨子が固まった以降、その後、教育委員会にかかわる報道は激減した。

「改正」教育基本法第16条で規定された教育への国家関与を具体的に規定したものであり、大きな問題をはらむ内容になっている。

さらに第55条の二において、「教育委員会の共同設置その他の連携を進め」ようとしている。これは教育行政の広域化であり、教育行政と地域住民の距離を広げることになる。これも教育基本法「改正」で、「国民全体に対する直接責任」が消されてしまったことと深く関わっている。
教育行政が国民よりも国に目を向けて行われていく危険性が極めて強い。


3.教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律案について
教育改革国民会議の提言を受けて、教員免許更新制等について審議した中央教育審議会は02年2月に、教員免許更新制については否定的な見解を示した答申をだした。しかし、06年7月の答申では、今度は更新制に前向きな姿勢が示され、教育再生会議第一次報告で導入が提言され、今回の教育職員免許法の一部改正案となった。

この間、02年2月答申で指摘されていた他の公務員との関係における身分保証に整合性があるのか、教員の資質向上策として妥当なのか、などの疑念は一切はらされることはなかった。しかも、教職への人材確保という観点からはむしろマイナスの制度として機能する面については何ら考慮されていない。

アメリカでしか導入されていないこの制度は愚の骨頂であり、撤回すべきである。

教育公務員特例法の一部改正案は、すでに各都道府県で実施されている「指導力不足教員の認定、特別研修および措置」にかかわる制度を法制度として確立しようとするものである。しかし、「指導改善研修」(第二十五条の二)を課した後の認定において、場合によっては免職という措置がありうることを規定(同条の三)し、01年2月の地方教育行政法改正による教職以外への転職措置に触れていない。「指導力不足教員」の排除をより強く教員人事管理を厳格化する方向を打ち出している。

教員免許更新制にしろ、「指導力不足教員」制度の確立にしろ、教員しめつけの施策であり、教育現場を萎縮させるだけである。
TOPへ戻る